日誌

2017年6月の記事一覧

眼鏡 校長だより


 Bigハートの実

 

6年生の棟の階段をあがったところに、一枚の掲示物があります。

ハート型にかたどった大きな枠に、小さな小さなシールが貼られています。「1年生の笑顔のために」と、わんぱくタイムや昼放課に、1年生と遊んだ6年生の子は、ここにシールを一枚貼ることになっているそうです。今このBigハートは、赤や黄、青の花びらが、まるで紫陽花の花のように開きはじめていますが、まだ一部、二部咲きと言ったところでしょうか。あまりの大きな枠に、満開まではまだまだ時間がかかりそうで、ここには、1年生を思う心だけでなく、6年生107名の結束と目標を達成する強い意志が必要なのかもしれません。

それでも今日も、1年生をおんぶしたり、手をつないで走ったりしている6年生がいました。その日はたとえ遠くても、子ども一人ひとりのハートには、優しさの灯()がともっているんだなあと感心します。私は、サクラ前線ならぬ優しさ前線が本校に到達し、開花予報がでるのはいつだろうか、6年の先生の満開の開花宣言を楽しみにしつつ、次の教室へと向かいました。

6年生教室の廊下から、カキポットが見えました。これは、先日3年生がカキの摘果を行い、カキの生長を継続観察するモデルです。「モモクリ三年カキ八年」と言われますが、実りを得るまで時間がかかります。

6年生の優しさの花も実際に実になるのは、5年後、1年生の彼らが6年生になったときです。そのころ彼らは、優しくされた思い出を胸に、きっと新入生を誘いに動き出すに違いありません。優しさのBigハートの花は、時間をかけ立派な実となって、後輩へと引き継がれていくのです。そのとき6年生のみなさんは、高校生、自転車で学校に急ぐあなたの横には、新入生をいたわって登校する「1年生の彼ら」がいるのです。

眼鏡 校長だより

 世界でいちばん真剣な教室

 

学校公開日、保護者の皆様、ご来校ありがとうございました。また、引き取り訓練、通学路確認のご協力感謝いたします。今回は、5年生のことで書きたいと思います。

2時間目の授業はすべて国語、同じ教材で行われていました。「世界でいちばんやかましい音」うるさい音、やかましい声を好み、それを誇りにしてきたガヤガヤという都が、王子の誕生日に起こった思わぬハプニングで、沈黙のよさを知り、世界でいちばん静かな都に変わるというお話です。これは、文学作品には必ず山場があり、そこにある決定的な変化を学ぶというものです。

教室をのぞきました。1組は、B紙に書かれたこれまでの学習記録をつなげながら、登場人物の変容を整理していました。2組は、黒板に物語の構成が図式化され、因果関係がわかりやすく、感動のルーツが見えてきました。3組は、クライマックスの瞬間を切り取り、子どもたち自身が物語の沈黙の世界を味わおうと動き出そうとしていました。

授業の味つけ方法は違いますが、どのクラスも担任の熱意というスパイスがピリッと効き、迫力あるものでした。子どもたちも、先生の思いに応えようと、本気で向き合います。ガヤガヤの住人が人の声を真剣に聞こうとしたように、友達の考えを真剣に受け止めようとしています。そして、それを温かく見守る保護者のみなさんも……。まさしく「世界でいちばん真剣な教室」だなあと感じて、次の部屋に行きました。

物語同様、人の営みにも山場があります。そして、その瞬間には、つねに本気な姿が垣間見られます。この日は「豊橋学校いのちの日」にちなみ、各教室には、本気で「いのち」を見つめる子どもの姿がありました。

眼鏡 校長だより

  ことばの栄養

朝、昇降口付近では、1、2年生の子が、水を滴らせながら、大事そうにペットボトルを抱えていました。1年生はアサガオ、2年生は野菜、「大きくなあれ、大きくなあれ」と願いをこめて、毎日水をあげているのです。いっぱいに広がっている緑の葉を見ていると、子どもたちの思いが届いていると思えてなりません。

時を同じくして、読書週間もスタート。図書室では、福岡ブックフェスタが始まっています。今日も本を借りに足を運んできているあの子は、何冊目なのでしょうか。またボランティアのみなさんによる「おはなし会」も催されていました。ドキドキする話、わくわくする話に、瞳を輝かせ、胸をときめかせている子どもたちがいました。さらに、わんぱくタイムには、あすなろおはなしの部屋が開かれています。あすなろ学級の子どもたちの手作りの絵本や紙芝居と優しい言葉にふれ、参加した子どもたちも心穏やかに時を過ごしていました。

ことばは心の栄養です。「おはよう」「ありがとう」などのあいさつもそうですが、子どもの心をくぐる多くのことばが、彼らの優しさの幹や根を育てていきます。大人たちは、子どもに、温かいことばのシャワーをたっぷり浴びせてあげたいものです。 

 栄養といえば、今週は、学校保健委員会や給食懇談会で、朝食や給食を通して、食について考えます。偏食や不規則な食生活が、大人への人格形成に大きな影響を及ぼすと言われるからです。

ことばも食も特効薬ではありません。ペットボトルから水を垂らすかのごとく、栄養を子どもの心身に少しずつ少しずつ染みこませていきたいものです。性急に成果を求めず、いつかのためにじっくりと取り組む、ある種の大人の覚悟が求められている気がします。