校長だより
ことばの栄養
朝、昇降口付近では、1、2年生の子が、水を滴らせながら、大事そうにペットボトルを抱えていました。1年生はアサガオ、2年生は野菜、「大きくなあれ、大きくなあれ」と願いをこめて、毎日水をあげているのです。いっぱいに広がっている緑の葉を見ていると、子どもたちの思いが届いていると思えてなりません。
時を同じくして、読書週間もスタート。図書室では、福岡ブックフェスタが始まっています。今日も本を借りに足を運んできているあの子は、何冊目なのでしょうか。またボランティアのみなさんによる「おはなし会」も催されていました。ドキドキする話、わくわくする話に、瞳を輝かせ、胸をときめかせている子どもたちがいました。さらに、わんぱくタイムには、あすなろおはなしの部屋が開かれています。あすなろ学級の子どもたちの手作りの絵本や紙芝居と優しい言葉にふれ、参加した子どもたちも心穏やかに時を過ごしていました。
ことばは心の栄養です。「おはよう」「ありがとう」などのあいさつもそうですが、子どもの心をくぐる多くのことばが、彼らの優しさの幹や根を育てていきます。大人たちは、子どもに、温かいことばのシャワーをたっぷり浴びせてあげたいものです。
栄養といえば、今週は、学校保健委員会や給食懇談会で、朝食や給食を通して、食について考えます。偏食や不規則な食生活が、大人への人格形成に大きな影響を及ぼすと言われるからです。
ことばも食も特効薬ではありません。ペットボトルから水を垂らすかのごとく、栄養を子どもの心身に少しずつ少しずつ染みこませていきたいものです。性急に成果を求めず、いつかのためにじっくりと取り組む、ある種の大人の覚悟が求められている気がします。