日誌

2019年3月の記事一覧

さあ 始まる

   体育館では、6年生が卒業式の練習中でした。フロア中央にある演台で、証書を授与する一連の所作は、ややぎこちなく不自然さがぬぐいされません。でも、卒業の歌になると、その美しいハーモニーに、会場が一変、卒業の空気に包まれました。卒業式が日一日と迫ってくる中、次第に思いと動きがつながり、自然なものになっていくのでしょう。

 通学班は、卒業前に、再編成、新年度をふまえて、新しい班長さんのもと、新しい通学班登校がはじまりました。

 朝、眺めてみると、その班はいつもより少し登校時間が早く、見守り隊の方たちの立つ交差点に現れました。「早いなあ」の声に、元気のよい「おはようございます」が返ってきました。ランドセル以外に責任という重荷を背負いながらも、やる気と自覚で、その重さを感じさせない表情が、なんとも頼もしく思えました。  

「校長先生、実はね……」と、見守り隊の方が、私に一枚の手紙をみせてくれました。そこには、「いつも感謝の気持ちを伝えたかったのですが、はずかしくて言えませんでした」と見守り隊の方への感謝の気持ちが綴られています。

「長い間、見守り隊をやっているけど、こんなふうに手紙をもらうのは初めてだ」と見守り隊の方は、目を細めながら、その手紙を宝物のようにふところにしまいました。感謝を伝える「ありがとうの会」が先日あったわけですが、本人としてみれば。直接、感謝の意を伝えたいと動かずにはいられなかったのでしょう。一通の手紙の優しさが見守り隊の方に元気を贈ったのでした。

 卒業や進級という節目に、何かをはじめようという気運。子どもたちも、新しい季節に向けて動き始めています。

成長し続ける4年生に


  お話タイムは、子どもたちの話す力、聞く力を高めるため、金曜日の朝の時間に行われている活動です。話し合うテーマは、子どもたちの様子により、彼らが提案したり、教師が考えたりしています。「飼いたいペットは何?」「ディズニーランドとユニバーサルとどちらがいい?」「外国人に薦めたい日本食は?」「30分後に地球が滅亡するなら何をする?」など、さまざまなテーマで話し合われています。

 この日、4年生に注目しました。4年生は、4クラス共通テーマで行われていました。テーマは「最後まで話をしっかり聞くにはどうしたらよいか」傾聴は、高学年でもなかなか難しいことです。いつも活気のある4年生ですが、テーマがテーマだけに、この日は、友達の声をしっかり聞こうと静けさが広がっていました。

 あるクラスは、まず話を聞くことができているかどうかと、自分たちの姿のふりかえりから始めていました。「できていない現状がある」それを受けて、それではその対策を考えようとしていました。また、あるクラスでは、話し手のことを考えて聞くという意識の面と、相手の方向に体や目線を向けるという方法が大事だと考えました。さらに、あるクラスでは、やはりご褒美や罰則がないと、この難題をクリアできないのではないかと考える子が多数いました。こんな意見もありました。「話す人が短くまとめて話す」と聞き手ではなく、話し手に目を向けた鋭い意見に感心しました。

 4つのクラスがどう結論づけたかはわかりませんが、たとえ同じテーマであっても、答えはひとつとは限らない。そこに向けて、どのように考えるかが重要なのだと思います。そうした意味から、4年生は、とてもよい時間を過ごしていると感じました。

  4年生も来年度はいよいよ高学年。話し合いを話し合いだけに終わらせず、次は行動です。先生の話、友達の声に真剣に耳を傾ける姿を、今度は見に行こうと考えています。