日誌

2018年9月の記事一覧

大人の本気にぶつかって


 北海道で大地震がありました。今、体育館に集い、円陣で仲良くおにぎりを食べている子どもたちを見ていると、つい避難所の生活に思いを馳せてしまいます。

 しかし、今日のお泊り会の子どもたちの表情には、待ちに待ったという満足感があふれています。さっきまで、キャンプファイヤーで歌ったり踊ったりゲームをしたり、そして、後半はおやじの会と先生によるトーチトワリングの華麗な演技、ダイナミックな花火を堪能し、本当に心は満腹だった気がします。

その余韻が冷めやらぬ子どもたちですから、当然のこと、気が緩んでしまいます。するとすかさず、そこにおやじの会の方々の「喝」が飛びます。その声に思わず神妙な顔になる子どもたちです。こうして、大人が本気をぶつけることで、子どもたちは、規律や気配り、仲間意識を身につけていくのです。

おや、今先生たちは、次の肝試しに向けて、おばけに変身しようとしています。今年は、おやじの会の執念に感化されてか、一段と気合が入っています。大胆な衣装を身にまとい、特殊メイクをし、となりの先生が思わず吹き出したり、こわがったりしています。このあとお化け屋敷と化した学校のあちこちで悲鳴が上がることでしょう。

今、いずれ起こるとされる南海トラフ地震ですが、大人の本気を受け止めた子どもたちは、もしもの時、この体育館の避難所要員として、がんばってくれると確信しています。

想い出の灯をともす

 6年生の学年掲示板には、修学旅行のコーナーが設けられています。目標や約束が示され、各クラスでは、班づくりや調べ学習が進められていると聞きました。修学旅行もひとつきを切り、近づいてきたなという実感があります。一方、野外活動は一週間後に迫りました。5年生の学年掲示板には、当日までの日数を数えたカウントダウン日めくりがありました。一枚一枚繰るごとに野外活動への思いを膨らませていることでしょう。

 ふれあいルームでは、トーチトワリングの練習が佳境を迎えていました。キャンプカウンセラーの経験をもつ達矢先生の指導のもと、ついに28名の精鋭が合格したと聞いています。振り返れば、いつもランドセルにトーチ棒を挟んで登校する姿が印象的でした。おそらく家庭で何度もトワリングの練習をしていたことでしょう。頑張りました。

今では、危険防止という視点から、火を使わずケミカルライトのトーチ棒で行う学校もあるそうです。が、危険だからといって子どもから遠ざけるのではなく、火は人にとって欠かせないものだと上手に付き合っていくのも重要です。地震や台風も人の手で回避できませんし、火を扱うことは危険に対処する意味で防災の学びにもつながっていくと思うのです。

野外教育センターが完成したのは私が5年生のときで、いわゆるここでの体験活動第1回生です。あのころの想い出はほぼ忘れてしまいましたが、長い階段と青い海、そして、わくわくして眠れなかったことを今でも忘れられません。

 1泊2日の短い時間ですが、準備にかける時間や思いが多ければ多いほど、子どもたちの想い出への刻みが深くなるものです。大人へと成長していくロードに、想い出の炎がともし続けられたらと思います。ご家庭でも、保護者の皆様自身の想い出を語ることで、我が子の心に、火をつけていただけませんか。

樹の名は

 今年は次から次へと台風が襲来しています。94日は、台風21号が四国、関西地方に上陸し、愛知県の学校も休校になりました。思えば、その前々日は校区の運動会が開催されたわけですが、町別対抗のリレーをはじめ、さまざまな競技で奮闘した子どもたちのよい休養日になったのではないでしょうか。

 さて、運動会の翌日3日の夏休み明け集会では、日焼けの色が眩しい元気な顔が戻ってきました。集会の中で、水泳大会や読書感想文の表彰後、福岡の校庭の森の話をすることにしました。

 実は、この夏、本校の豊かな樹々の名を一本一本調べたようと思い立ちました。しかし、これが思わぬ苦戦を強いられることになったのです。夏場は花の季節ではなく、花から木の名を探り当てることはできません。枝ぶりや樹全体の写真を撮り、樹木図鑑と見比べたわけですが、これが全然わかりません。最終的に、ユリノキ、トウカエデ、アメリカスズカケノキ等、その名にたどり着くことができたのは、樹皮の色や模様を確認し、さらに葉を切り取って、何回か図鑑と照らし合わせたからでした。しっかりつき合わないと、樹は名前を教えてくれんなあと、思わずつぶやいてしまいました。

 遠くから見たり、近くで観察したりと、深くかかわって、わかる樹の名前。これは、人も同じです。何度も何度も関わって、その人のことが見えてくる。子どもと子どもが、大人と子どもが、さらに大人同士がかかわりあって進められていた、あの校区の運動会のように、心のつながりを大切にした福岡小学校を作りあげてきたいと改めて感じています。

初陣

 テレビをつけると、高校野球の開会式をやっていました。今年は、100回目の記念大会だそうです。「野球ができることの幸せ」ということばが印象的でした。遠く昔は、戦争により大会そのものが開催できず、野球をすることすら叶わず戦禍に散っていった球児たちもいました。最近においては、西日本豪雨により甚大な被害をうけた被災地では、野球どころではなかったでしょう。歴史や現実をふまえたとき「野球ができる」幸せがより重く受け止めることができました。甲子園では、「野球ができる幸せ」を球児たちはプレーで体現し、私たちに多くの感動を与えてくれました。

 しかし、子どもたちにとって本物の感動は、本人の体験の中にあります。小学生のコンサートでは、市内の仲間たちと心ひとつに歌声で共鳴し合い、水泳大会では、自己ベストをめざした個人の泳ぎとともに、リレーで「チーム福岡」を感じるなど、会場には、甲子園に負けないドラマがありました。

 夏休みも後半に入り、バレー、バスケットボール、サッカー部と、10月の球技大会に向けて、練習試合が始まりました。猛暑が続いた今年は、練習時間も十分でなく、初陣の子どもたちの表情も、今ひとつ自信がなさそうです。そして、いざ試合が始まっても、動きがわからない、ミスを繰り返してしまうなど、ぎこちなさばかりが目立っています。その姿に、下を向くな、声を出せ、傍から見ていて声をかけずにはいられませんでした。まだ始まったばかり、失敗は成功への布石です、あなたの心がけ次第で、今日の失敗がいつしか感動という輝きを引き出してくれるのです。「プレーができる楽しさ」を感じながら頑張ってほしいと願うこの頃です。