日誌

2017年10月の記事一覧

眼鏡 校長だより

台風が過ぎ去って

 

超大型といわれた台風21号によって、休校になりました。いつもの主役の子どもたちの歓声も、この日ばかりは強風のうなりにとってかわりました。校庭には、ぎんなん、まつぼっくり、くぬぎの実などが、まるで天からばらまかれたように、一面に散らばっています。また、折からの強風は、葉や実だけではなく、枝々をへし折り、運動場の真ん中あたりにも、松やくすのき、いちょう、プラタナスの大きな枝が落ちていました。休校になったその日、先生たちは職員作業。木々の残骸、実を集め、あっという間にリヤカーやコンテナが、いっぱいになりました。台風一過の快晴の空を見上げながら、みんなで行う和気あいあいの心地よい作業に、笑顔が広がっています。

さて、翌日、3年生は、アークリッシュの総料理長を講師にお迎えし、味覚の授業を行いました。コック帽をかぶった神妙な子どもたちでしたが、味見体験をなると目を輝かせいつもの顔に戻りました。味には「あまい、すっぱい、にがい、しょっぱい」の4種類がある。甘いものやしょっぱいものばかり摂取していると、体によくない。そんなお話もあり、苦みや酸味に、顔をしかめている子もいました。私は、彼らを見ながら、これは人が生きていくこともつながると思いました。学校生活において、うまくいくことばかりでなく、ほろ苦さや酸っぱさを味わうことも大切な勉強ではないでしょうか。

外を眺めると、本校の大樹が、空に向かってそびえています。この立派なたたずまいも、厳しい風雨の度に、大切な枝葉をそぎ落とすという、辛酸をなめながら、生きぬいている誇らしげな姿に見えます。

おや、昨日の強風の音を上回るような、子どもたちの歓声が聞こえてきます。そう、今日は、1年生の芋ほり体験。今年は豊作なのでしょうか。

眼鏡 校長だより


  ご褒美

 

清水寺は、平成の大改修中です。「清水の舞台」で有名な本堂は、工事用の木組みと風雨をしのぐシートにすっかり覆われています。それでも、さすがに世界遺産。修復中であっても、修学旅行生や海外からの観光客、そしてツアー客で、寺へと続く参道は、人でいっぱいでした。

 本堂に立ちました。シートに覆われた舞台であっても、シートの間から望む景色は壮大で、紅葉の頃はさぞ絶景であろうと、たやすく想像ができます。

 添乗員さんがこちらに走ってきます。「お水とりができそうです」との声。舞台の下には、「音羽の滝」があります。三つに分かれ滴り落ちる水を飲めば、「学業」「恋愛」「健康長寿」が叶えられると言われ、ここがひとつのスポットになっています。常に長蛇の列ができ、修学旅行生は、時間的なことからほとんどが回避、今年も、添乗した学校ではまだこのお水にありつけていないそうです。

今日はたまたまよい時間帯だったのでしょうか。行列の人の数がすくないと判断し、福岡小の子どもたちを列に加えました。子どもたちは、落ちてくる水を柄杓で受けながら、それぞれ願いをかけています。

 かれらが並んで待つ姿を見て思い出しました。法隆寺でも、大仏殿でも、平等院鳳凰堂でも、いつも速やかに並び、ガイドさんの話を真剣に聴き、メモをとる姿がありました。そんなひたむきな姿を、神様や仏様は見逃していません、お水とりは、そのご褒美だったのかもしれないと思えてなりませんでした。

 お水に託した願い、ただ願いは願い、それが実現するかは別の話です。清水の改修工事が時間をかけ、ひとつひとつ積み上げ完成に至るように、子どもたちにもたゆまぬ精進が必要です。「清水の舞台」ではありませんが、子どもたちの未来に、夢を実現する、晴れ舞台が待っていてほしいと祈うばかりです。