日誌

全校

刻まれなかった日々

3月2日から急きょ休校になりました。ご家庭の事情で預け先が確保できない子どもを対象に、学校での「預かり」が始まったのは、4日から。

 報告によると、参加数は全体で60名前後と聞きました。

 各教室を回ってみると、普段なら肩を寄せ合って、学んだり遊んだりしていた子どもたちが、机を引き離され、沈黙の中で自習が始まっていました。漢字や計算をやったり、自分の問題集・ドリルをやったり、はたまた読書をしたりと、おのおのが、自分が決めた学習内容を黙々とこなす姿は、何か痛々しささえ覚えます。1時間言葉を交わすことができないことって、子どもにとってはなんと厳しいことなのでしょう。子どもたちは、一人で勉強することの辛さを実感しながら、同時に今まで友といっしょに勉強できたことがなんと幸せなことか、最も大切なことを学んでいたのです。

 だれもいない教室を覗きました。閑散とした空気の中に、子どもたちと刻めなかった日々を埋めるように、担任の先生によって、1年間の思い出や日めくりカレンダー、メッセージが黒板に掲げられ、荷物を取りにきた子どもたちに届くよう、願いがこめられていました。

 「自分で考える」「自分で決める」「自分なりにまとめる」など、この厳しい局面に机に向かっている子どもたちですが、新年度からスタートする新学習指導要領には、「思考・判断・表現」「学びに向かう力」が重要視され、まさに目の前の子どもの姿とつながります。逆境の中で、人は育つ。今回の逆境が、福岡っ子たちにとって、生きる力を育むきっかけになってほしいと強く望むところです。 
(お知らせに 良友30号を掲載しました)