日誌

全校

眼鏡 校長だより

 世界でいちばん真剣な教室

 

学校公開日、保護者の皆様、ご来校ありがとうございました。また、引き取り訓練、通学路確認のご協力感謝いたします。今回は、5年生のことで書きたいと思います。

2時間目の授業はすべて国語、同じ教材で行われていました。「世界でいちばんやかましい音」うるさい音、やかましい声を好み、それを誇りにしてきたガヤガヤという都が、王子の誕生日に起こった思わぬハプニングで、沈黙のよさを知り、世界でいちばん静かな都に変わるというお話です。これは、文学作品には必ず山場があり、そこにある決定的な変化を学ぶというものです。

教室をのぞきました。1組は、B紙に書かれたこれまでの学習記録をつなげながら、登場人物の変容を整理していました。2組は、黒板に物語の構成が図式化され、因果関係がわかりやすく、感動のルーツが見えてきました。3組は、クライマックスの瞬間を切り取り、子どもたち自身が物語の沈黙の世界を味わおうと動き出そうとしていました。

授業の味つけ方法は違いますが、どのクラスも担任の熱意というスパイスがピリッと効き、迫力あるものでした。子どもたちも、先生の思いに応えようと、本気で向き合います。ガヤガヤの住人が人の声を真剣に聞こうとしたように、友達の考えを真剣に受け止めようとしています。そして、それを温かく見守る保護者のみなさんも……。まさしく「世界でいちばん真剣な教室」だなあと感じて、次の部屋に行きました。

物語同様、人の営みにも山場があります。そして、その瞬間には、つねに本気な姿が垣間見られます。この日は「豊橋学校いのちの日」にちなみ、各教室には、本気で「いのち」を見つめる子どもの姿がありました。

眼鏡 校長だより

  ことばの栄養

朝、昇降口付近では、1、2年生の子が、水を滴らせながら、大事そうにペットボトルを抱えていました。1年生はアサガオ、2年生は野菜、「大きくなあれ、大きくなあれ」と願いをこめて、毎日水をあげているのです。いっぱいに広がっている緑の葉を見ていると、子どもたちの思いが届いていると思えてなりません。

時を同じくして、読書週間もスタート。図書室では、福岡ブックフェスタが始まっています。今日も本を借りに足を運んできているあの子は、何冊目なのでしょうか。またボランティアのみなさんによる「おはなし会」も催されていました。ドキドキする話、わくわくする話に、瞳を輝かせ、胸をときめかせている子どもたちがいました。さらに、わんぱくタイムには、あすなろおはなしの部屋が開かれています。あすなろ学級の子どもたちの手作りの絵本や紙芝居と優しい言葉にふれ、参加した子どもたちも心穏やかに時を過ごしていました。

ことばは心の栄養です。「おはよう」「ありがとう」などのあいさつもそうですが、子どもの心をくぐる多くのことばが、彼らの優しさの幹や根を育てていきます。大人たちは、子どもに、温かいことばのシャワーをたっぷり浴びせてあげたいものです。 

 栄養といえば、今週は、学校保健委員会や給食懇談会で、朝食や給食を通して、食について考えます。偏食や不規則な食生活が、大人への人格形成に大きな影響を及ぼすと言われるからです。

ことばも食も特効薬ではありません。ペットボトルから水を垂らすかのごとく、栄養を子どもの心身に少しずつ少しずつ染みこませていきたいものです。性急に成果を求めず、いつかのためにじっくりと取り組む、ある種の大人の覚悟が求められている気がします。

 

 

眼鏡 校長だより

  わき役の心

青空にBGMがとどろき、5,6年生のスタンツが始まりました。グランドに手をつき、地面を蹴る、うつぶせになり、立ち上がる、素早く華麗な演技が続いていく。しかも、仲間同士の呼吸が合い、集団の鼓動がひとつに聞こえるほどの一体感を感じる。快晴の空の下、初夏の太陽のスポットを浴び、「君が主役だ」のテーマ通り、まさしく主役でした。

 「大地に伏せ、大地を蹴る」主役としてステージに立ち、子どもたちは、何を感じていたのでしょうか。

 今朝、このステージは、水が浮いていました。昨夜から想定外の大雨となり、運動会の開催すら危ぶまれるほど。昨日教頭先生の作った、てるてる坊主の表情も何か悲しげでした。

 しかし、早朝から、水を掃きだし、地面を馴らし、消えたラインを引く、教職員だけでなく、おやじの会をはじめとする地域の方が、グランド整備に動き出してくれたのでした。子どもたちの演技に支障がないようにと願う、わき役たちの思いが、きっと天に通じたのでしょう。太陽の陽ざしとさわやかな風も手伝って、スタンツの頃は、ベストコンディションになっていました。

 5,6年だけでなく、1年から4年の子どもたちに、「主役になるには、わき役の存在が不可欠だ。わき役に感謝してこそ主役になれる」最後に、そんな話をさせていただきました。

 6月になります。主役の子どもたちには、わき役の心を感じ、学ばせたいと思っています。保護者の皆様、子どもたちへの温かいご声援、そして手本になるようなマナー、名わき役でした。心から感謝いたします。

眼鏡 校長だより

運動会に寄せて

 連日、運動場や体育館で、運動会の競技や演技の練習を、元気いっぱいに繰り返している子どもたちが見られています。

 全校練習の時間でした。校舎は先ほどのざわめきが嘘のように静まりかえっています。5年生の教室を覗いてみました。メダカの飼育とインゲンマメの栽培がすすめられていました。メダカは、ペットボトルをお家に、産卵計画が進行中でした。また、インゲンマメの発芽の実験中でしょうか。光に向かって伸びようとしているインゲンが、ニンゲンのように健気に映りました。

 3年生も、水槽が並んでいるではありませんか。なかをのぞくと、イモムシかキャベツを食べていました。おそらくアゲハの幼虫でしょう。幼虫は脱皮を繰り返し、やがてサナギに、そして1か月後にはチョウへと羽化していきます。

 静まり返った教室に、こうして静かにいのちや成長の営みがなされている、このことが、妙に神秘的に映りました。

 一方運動場では、全校児童の応援の練習中で、活気にあふれています。赤、青、白、それぞれが応援団長を中心に、趣向を凝らし、応援歌や踊り、ウエーブの練習中でした。「君が主役だ 運動会 心をひとつに一致団結」とテーマに掲げながらも、まだ声が小さかったり、ばらばらであったりと、先生をやきもきさせています。でも、6年生が先頭に立ち、懸命に呼びかけている姿を見ると、今ががんばりどころだと思わず声をかけたくなります。子どもの心も、経験という脱皮を繰り返しながら、成長していくのでしょう。1週間という期間が、必ずや演技を進化させてくれるに違いありません。

 いよいよ週末は運動会。福岡の空にアゲハチョウが飛んでいくように、子どもたちも主役となって飛躍してほしいと願っています。

眼鏡 校長だより

福岡小の美しい風景

 新緑の中、運動会の練習、部活動がスタートしました。

 授業後、校内を歩いていますと、まず太鼓の音が聞こえてきました。多目的室をのぞくと、和太鼓部の演奏が始まっていました。昨年から練習してきた演目なのでしょう。ブランクを感じさせない、力強い音の力に圧倒されました。体育館の方からは、「はいっ」と元気のいい返事が聞こえてきました。遠い昔、バスケボール部顧問であった私は、体育館に入ると、やはり気持ちが引き締まるものです。バスケット部はボールハンドリング、バレー部はトスやレシーブの基礎練習を繰り返していました。まだぎこちなさが目立ちますが、この反復練習で技術のアップは間違いありません。

音楽室からは楽器の音が聞こえてきます。部屋をのぞくと、音楽部の個別練習でした。丁寧に教え合う姿が印象的で、楽器演奏の音が音色へと進化する日も近いことでしょう。

すると、となりの棟から大きな声が聞こえています。6年生の教室のようです。応援団長さんが中心となって、応援の曲にあわせて、歌詞や振り付けをどうするか、熱い議論がなされていました。今年の運動会のテーマどおり、一致団結する姿が楽しみでなりません。

 窓から運動場を眺めました。顧問の声やホイッスルの合図にあわせ、ダッシュやボールタッチを繰り返す陸上部、サッカー部がいました。

私は屋外に出てみました。薫風の中、若葉のざわめきとともに、楽器やホイッスル、歌声と、さまざまな音がシンクロし、まるでオーケストラのように聞こえてきました。これもひとつの福岡小の文化なのでしょう。

校長室に戻るころは、下校時間が近づいていました。オーケストラ演奏はぱたりと消え、静けさが訪れていました。