日誌

2020年3月の記事一覧

刻まれなかった日々

3月2日から急きょ休校になりました。ご家庭の事情で預け先が確保できない子どもを対象に、学校での「預かり」が始まったのは、4日から。

 報告によると、参加数は全体で60名前後と聞きました。

 各教室を回ってみると、普段なら肩を寄せ合って、学んだり遊んだりしていた子どもたちが、机を引き離され、沈黙の中で自習が始まっていました。漢字や計算をやったり、自分の問題集・ドリルをやったり、はたまた読書をしたりと、おのおのが、自分が決めた学習内容を黙々とこなす姿は、何か痛々しささえ覚えます。1時間言葉を交わすことができないことって、子どもにとってはなんと厳しいことなのでしょう。子どもたちは、一人で勉強することの辛さを実感しながら、同時に今まで友といっしょに勉強できたことがなんと幸せなことか、最も大切なことを学んでいたのです。

 だれもいない教室を覗きました。閑散とした空気の中に、子どもたちと刻めなかった日々を埋めるように、担任の先生によって、1年間の思い出や日めくりカレンダー、メッセージが黒板に掲げられ、荷物を取りにきた子どもたちに届くよう、願いがこめられていました。

 「自分で考える」「自分で決める」「自分なりにまとめる」など、この厳しい局面に机に向かっている子どもたちですが、新年度からスタートする新学習指導要領には、「思考・判断・表現」「学びに向かう力」が重要視され、まさに目の前の子どもの姿とつながります。逆境の中で、人は育つ。今回の逆境が、福岡っ子たちにとって、生きる力を育むきっかけになってほしいと強く望むところです。 
(お知らせに 良友30号を掲載しました)

子どもたちの心に救われて

 職員室前にありがとうメッセージのコーナーがあります。満開のカラフルなメッセージカードは、まるで春の花畑を思わせてくれます。メッセージをひとつひとつ読むことにしました。

「笑顔いっぱいの毎日にしてくれてありがとう」

「いつも声をかけてくれてありがとう。前のペア交流楽しかったよ」

「みんなの笑顔に、いつも元気をもらっているよ」

「いつも笑顔で話しかけてくれてありがとう。おかげで自分も笑顔になるよ」

 なんと優しく温かいことばなのでしょう。これらは、すべて下級生に向けた6年生のメッセージです。いつも下級生に親切にお世話をしていた6年生が、あるとき自分も元気で優しくなれていた。そんな成長の自覚が感じられます。

 今、新型コロナウィルスの感染の影響で、さまざまなイベントや集まりが縮小、中止され、世の中はたいへん重苦しいものになっています。そして、そのことは、学校現場にも暗い影を落とし、3月2日より国からの指示で、小中学校が休校措置をとることになりました。

 日本は、東日本大震災をはじめ、震災や台風、竜巻、水害など、たくさんの試練に対して、人々の力で乗り越えてきました。まだ豊橋市には感染者の発表はありませんし、どこまでコロナウィルスの波が来ているかわかりませんが、この苦境をみんなの力で乗り越えていけたらと思います。

 今日まで、学校では、6年生は卒業に向けて、在校生は6年生を送る会に向けて、「ありがとう」の気持ちを、いろいろな形やことば、姿にして表そうと動き出してきました。この優しい温かい気持ちが天に届き、コロナの影を払しょくできればと祈ります。
 保護者の皆様、これまで本校の教育活動に対して、ご理解、ご協力ありがとうございました