日誌

全校

優しくされた記憶

ぼくが校外学習の遊びが楽しみなことは、一年生といっしょに

遊ぶことです。

理由は、一年生と一時間半の間、ずっと遊ぶことはめったにな

いし、小さい子と遊ぶことは少ないし、ぼくが一年生のときの6

年生には、たくさん遊んでもらって楽しませてもらったので、

ぼくも一年生とたくさん遊んであげて、楽しませてあげたいです。

 

  6年生の日記を、担任の先生に読ませていただきました。右の作品は、校外学習の時のものです。

   入学式、1年生を迎える会と、6年生は、1年生と交流を積み上げてきました。1年生にとっての彼らは、いつの間にか頼りになる、かけがえのない存在になっていました。

  6年生の彼を支えていたものは何でしょうか。

  それは、日記から、5年前の体験だったことがわかります。おそらく、あのころ、交流のイベントはもちろん、日常の通学班の登校やわんぱくタイムでも、6年生に十分過ぎるほどのお世話をしてもらったことでしょう。彼らの優しさには、今はもう高校生や社会人となってしまったお兄さんやお姉さんの存在が原体験にあったのです。

   伝統は目に見えません。が、「良友」の精神は、子どもたちの心の奥底に脈々と流れ続け、その後形や姿となって現れていたのです。そう、今の1年生の子どもたちも、最上級生になったとき、今日の日のことが甦り、日記を書いた子のように、自身を突き動かしていくに違いありません。

  まさしく伝統のちからです。 

一歩一歩 歩もう

   22日 今年も、おやじの会のみなさんによる田植えのイベントが行われました。この日は、初夏の田園風景の中、さわやかな風が水面を揺らしていました。南陽中学校に程近い田んぼには、50名近くの子どもたちが集まりました。

「苗をいたわること」、「根が張るように植え込むこと」など、伊東さんのお話を聞いたあと、子どもと大人が交互になるように、畦に一列に並びました。目印のついたロープが水面に張られ、その目印の場所に苗を植えていきます。

 拡声器から声が響きました。その指示のもと、各自一斉に、足を田に踏み入れると、水の冷たさと泥の感触に歓声をあげる子どもたち。さあ、田植えの開始です。

外野からは、「列を乱すな」「カエルに気をとられるな」「植えた苗を踏むな」と厳しくも温かいヤジが飛び交います。このことばを心に染みこませ、子どもたちは、泥に足をとられながらも、次の一歩を踏み出します。

  歩幅も、脚力も違う、子どもと、親、そして先生が、同じペースで歩む、優しくしかも確かに苗を植えこんでいく姿は、教育のめざすところと共通しているように思います。苗たちは、その光景を喜ぶかのように、さわやかに風になびいていました。

やがて初秋には、厳しい暑さや猛烈な風雨を乗り越えて、この一帯が黄金色の絨毯に染まり、実りの時を迎えるでしょう。学校現場も、子どもたちに、さまざまな学びの実りが訪れるよう、歩んでいきたいものです。

  おやじの会のみなさん、ありがとうございました。

成長のすき間

   校長室から見えるメタセコイヤとイチョウの若葉のすき間から、陽光が差しこんできました。すがすがしい初夏の空気に、学級をのぞくことにしました。

   1年生の教室では、大きなカードに、自分の名前を書いていました。「入学してはじめて書く」という名前。大きい文字や小さい文字、震えた文字や曲がった文字、また用紙の余白が広いなど、バランスは気になりますが、その一生懸命さが伝わってきます。

2年生から6年生は、お話タイムがスタートしました。第1回目のテーマは、「今年、がんばりたいこと」「お話タイムで話し合いたいこと」「自己紹介」等、1年のスタートにふさわしいものが多いようです。しかし、まだ学級開きから間もない今、昨年のような活発な話し合いは見られません。新しい仲間の様子をうかがうように、沈黙が広がります。意見が出ないので、司会者もどうまとめていいのか戸惑っています。全体的に重苦しい空気が漂っていました。

   しかし、それでいいんだと思います。この「うまくいかない」ことが、学級の課題になり、それをみんなで克服していくことが、成長につながると思うのです。

   校長室からの見える若葉も、まばらです。そのすき間から青空が望めます。1年生の名前の余白も、他学年の話し合いの沈黙も、いわば成長のための大切なすき間なのです。

  夏になれば、若葉で覆われ、優しい木陰を作ってくれる樹々のように、子どもたちもきっと、成長のすき間を埋めるべく、頑張って取り組んでくれるでしょう。そう思うと、むしろそれらは、希望や楽しみのように、感じてならないのです。

散り落ちたサクラを眺めて

  サクラがすっかり散り落ちて、いつもとは違う風景の中で、新しい年度が始まりました。

今年度は、6日、102名の子どもたちの入学式が行われ、会場の体育館が満開のサクラのように華やかになりました。彼らを迎える6年生も、最高学年の自覚の中で、1年生の心がさらに元気になるようなパーフォーマンスを、寸劇や歌で披露してくれました。

 振り返れば、春休み中、事前に学校の下見をして気持ちを馴らそうと、新入学生を連れた親御さんにも出会いましたし、新しい教室で、子どもたちを気持ちよく迎えようと、窓や床を拭き、机を整頓する先生の姿もありました。それぞれの人たちが、はじまりの時に備えて、しっかり準備する光景に、心が動きました。

 サクラは散ってから、3か月後ぐらいには、早くも次の花芽をつけるそうです。しかし、その花芽は、いったん冬眠し、暖かくなるのを待って一斉に咲くと聞きました。サクラが一斉に咲けるのは、早く準備し、その時をじっと待つ時間があるからなのでしょう。

 教育も未来への準備の営みです。将来、子どもたちの人生に、満開のサクラを咲かせるように、一つ一つ準備をしていこう、サクラの樹を眺めながら、そんなことを思いました。今年度も、どうぞよろしくお願いします。

祝卒業

 3月20日(火)小雨降る日、6年生106名は本校を巣立ちました。
最後に歌った歌は、羽田裕里江先生の新曲「つぼみ」でした。