日誌

全校

食欲の秋に


 中庭の小さな田んぼには、稲刈りをした切り株から、葉が出て、再び小さな稲穂が揺れていました。また、昨年3年生が植えたカキの木は、オレンジ色のカキが実っていました。何度か台風の風や雨にさらされながらも、しっかりと枝にしがみついて実りの時を迎えています。実りのシーズンを迎え、校内のさまざまな場で「いのち」の逞しさを感じます。

 そんな中、1年生が6年生の助けを借りてサツマイモ掘りが行われました。昨年の不作だったこともあり、幾分心配されたわけですが、掘ってみると、土の中から次から次へと出てくる大きなサツマイモ。サツマイモを手にした子から歓声が聞こえてきました。豊作です。振り返れば、今年は、異常な暑さとともに、台風も何度か通過し、必ずしもよい気象条件ではなかったはずです。

 私たちは、本来手間をかけるほど、あるいはよい環境ほど、生き物は育つと思いがちです。しかし、サツマイモは、厳しく放任して育つものだと言われています。肥料や水を十分与え過ぎると、葉っぱやツルばかりに養分が行ってしまうそうです。厳しい環境だからこそ、じっと根に栄養を蓄え、それが立派なサツマイモになるのでしょう。

 八十八回手間かけると言われる米のように、手間の要る植物もあれば、モモクリ3年カキ8年と、時間も要するものもあります。そして、サツマイモのように、厳しさにさらした方がよいものもあります。そう考えると、子どもたちの育て方に何か通じるかもしれません。

 栄養と言えば、先日の学校保健委員会では、「なんでも食べて、元気もりもり」というテーマで、朝食について勉強しました。近藤栄養教諭から、朝ごはん簡単野菜レシピの紹介もありました。保護者の皆様、ここは、我が子の朝食づくりをぜひ見守ってあげてください。

羽ばたけ 6年生


 土曜日、体育館を覗いてみると、バスケットボール部の練習試合が行われていました。相手が強かったこともありますが、男子も女子も苦戦を強いられていました。子どもたちは腰高で安定せず、ボールがなかなか手につきません。そうです。昨日まで修学旅行で、この数日間全く練習する時間がありませんでした。疲れや眠さが残る、万全でないコンディションであっても、失敗、ミスに腐ることなく必死でボールを追いかける姿に、むしろ感動さえ覚えました。これが6年生の成長した姿なのでした。一方、バレー部もこの日試合で、早朝から集合し、他校に赴いていました。あいさつもプレーもいつの間にかよくなっていたと、試合後の顧問の先生の言葉。ここにも成長の跡がありました。

 さて、その修学旅行はと言いますと、奈良地方は「雨」という天気予報でしたが、一度も傘をさすことなく、順調に進めることができました。振り返れば、昨年の野外活動の時もそうでした。センターに到着する頃に雨が上がり、日がさしてきたことを思い出しました。心がけもいいのでしょう。

 その心がけですが、奈良公園の班別分散学習の場面にもありました。現地はシカに加え、修学旅行生、外国人旅行客があふれ、歩くことさえままなりません。そんな状況の中、時間通りに行動しようとする班が数多く見られました。班の中には、シカが苦手な子もいます。だから、班の歩みもずいぶん遅くなるわけです。しかし、その子を見捨てることもなく、シカたちの壁になって進む子どもたちは、まさに要人を守るSPのようでした。約束を守りつつも、大切なものを見失わない6年生。その姿にも、この一年間の成長を感じずにいられませんでした。

 次の山場の福岡っ子発表会は、「火の鳥」という作品だそうです。今回の目的地、平安京、平城京からさらに時をさかのぼって、古墳時代のお話だそうです。卒業まで半年を切って、火の鳥のように、さらに飛躍してくれると信じています。

プラタナス倒れる


   台風24号は、東三河地方に甚大な被害を与えました。

 本校も、東側道路側のプラタナスの巨木が、根元からなぎ倒され、遊具に覆いかぶさるようになっていました。この巨大な木が横たわっている状況に、改めて風雨の強さを思い知らされたと同時に、道路や建物ではなく、迷惑の少ないところに、倒れてくれたことに感謝しました。

 本校自慢のこのプラタナスは、まだ数本ありますので、今後台風が襲来したとき、ほかの樹は大丈夫かと心配が募ります。が、思えば、倒れたこのプラタナスは、秋になって根元や幹や枝に、多くのキノコが寄生していたことを思い出しました。そのことを校務主任に尋ねてみると、木が弱っていたり、抵抗力がなくなっていたりしているのではないかという答えが返ってきました。木は辛いとか疲れたと言葉に発してくれません。あのキノコは、プラタナスのSOSだったのかもしれません。

 子どもたちの中にも、辛いこと、苦しいこと、なかなか言葉に出せない子がいます。キノコではありませんが、私たちは言葉にならない声にしっかり耳を傾けないといけないと、プラタナスを見て感じました。

 台風一過のこの日、停電が続き、信号も一部復旧していませんでしたが、安全を確認し、通常通り日課をスタートしました。ご家庭には、ご迷惑をおかけしました。
   豪雨や台風、地震など日本中が被災している現在、不便な生活は、私たちにたくさんの教訓を与えてくれています。豊橋の南の位置する我が家も、この日も停電が復旧せず、被災地を想いながら、ろうそくの灯りでおにぎりの味を噛みしめました。










大人の本気にぶつかって


 北海道で大地震がありました。今、体育館に集い、円陣で仲良くおにぎりを食べている子どもたちを見ていると、つい避難所の生活に思いを馳せてしまいます。

 しかし、今日のお泊り会の子どもたちの表情には、待ちに待ったという満足感があふれています。さっきまで、キャンプファイヤーで歌ったり踊ったりゲームをしたり、そして、後半はおやじの会と先生によるトーチトワリングの華麗な演技、ダイナミックな花火を堪能し、本当に心は満腹だった気がします。

その余韻が冷めやらぬ子どもたちですから、当然のこと、気が緩んでしまいます。するとすかさず、そこにおやじの会の方々の「喝」が飛びます。その声に思わず神妙な顔になる子どもたちです。こうして、大人が本気をぶつけることで、子どもたちは、規律や気配り、仲間意識を身につけていくのです。

おや、今先生たちは、次の肝試しに向けて、おばけに変身しようとしています。今年は、おやじの会の執念に感化されてか、一段と気合が入っています。大胆な衣装を身にまとい、特殊メイクをし、となりの先生が思わず吹き出したり、こわがったりしています。このあとお化け屋敷と化した学校のあちこちで悲鳴が上がることでしょう。

今、いずれ起こるとされる南海トラフ地震ですが、大人の本気を受け止めた子どもたちは、もしもの時、この体育館の避難所要員として、がんばってくれると確信しています。

想い出の灯をともす

 6年生の学年掲示板には、修学旅行のコーナーが設けられています。目標や約束が示され、各クラスでは、班づくりや調べ学習が進められていると聞きました。修学旅行もひとつきを切り、近づいてきたなという実感があります。一方、野外活動は一週間後に迫りました。5年生の学年掲示板には、当日までの日数を数えたカウントダウン日めくりがありました。一枚一枚繰るごとに野外活動への思いを膨らませていることでしょう。

 ふれあいルームでは、トーチトワリングの練習が佳境を迎えていました。キャンプカウンセラーの経験をもつ達矢先生の指導のもと、ついに28名の精鋭が合格したと聞いています。振り返れば、いつもランドセルにトーチ棒を挟んで登校する姿が印象的でした。おそらく家庭で何度もトワリングの練習をしていたことでしょう。頑張りました。

今では、危険防止という視点から、火を使わずケミカルライトのトーチ棒で行う学校もあるそうです。が、危険だからといって子どもから遠ざけるのではなく、火は人にとって欠かせないものだと上手に付き合っていくのも重要です。地震や台風も人の手で回避できませんし、火を扱うことは危険に対処する意味で防災の学びにもつながっていくと思うのです。

野外教育センターが完成したのは私が5年生のときで、いわゆるここでの体験活動第1回生です。あのころの想い出はほぼ忘れてしまいましたが、長い階段と青い海、そして、わくわくして眠れなかったことを今でも忘れられません。

 1泊2日の短い時間ですが、準備にかける時間や思いが多ければ多いほど、子どもたちの想い出への刻みが深くなるものです。大人へと成長していくロードに、想い出の炎がともし続けられたらと思います。ご家庭でも、保護者の皆様自身の想い出を語ることで、我が子の心に、火をつけていただけませんか。