日誌

2018年4月の記事一覧

一歩一歩 歩もう

   22日 今年も、おやじの会のみなさんによる田植えのイベントが行われました。この日は、初夏の田園風景の中、さわやかな風が水面を揺らしていました。南陽中学校に程近い田んぼには、50名近くの子どもたちが集まりました。

「苗をいたわること」、「根が張るように植え込むこと」など、伊東さんのお話を聞いたあと、子どもと大人が交互になるように、畦に一列に並びました。目印のついたロープが水面に張られ、その目印の場所に苗を植えていきます。

 拡声器から声が響きました。その指示のもと、各自一斉に、足を田に踏み入れると、水の冷たさと泥の感触に歓声をあげる子どもたち。さあ、田植えの開始です。

外野からは、「列を乱すな」「カエルに気をとられるな」「植えた苗を踏むな」と厳しくも温かいヤジが飛び交います。このことばを心に染みこませ、子どもたちは、泥に足をとられながらも、次の一歩を踏み出します。

  歩幅も、脚力も違う、子どもと、親、そして先生が、同じペースで歩む、優しくしかも確かに苗を植えこんでいく姿は、教育のめざすところと共通しているように思います。苗たちは、その光景を喜ぶかのように、さわやかに風になびいていました。

やがて初秋には、厳しい暑さや猛烈な風雨を乗り越えて、この一帯が黄金色の絨毯に染まり、実りの時を迎えるでしょう。学校現場も、子どもたちに、さまざまな学びの実りが訪れるよう、歩んでいきたいものです。

  おやじの会のみなさん、ありがとうございました。

成長のすき間

   校長室から見えるメタセコイヤとイチョウの若葉のすき間から、陽光が差しこんできました。すがすがしい初夏の空気に、学級をのぞくことにしました。

   1年生の教室では、大きなカードに、自分の名前を書いていました。「入学してはじめて書く」という名前。大きい文字や小さい文字、震えた文字や曲がった文字、また用紙の余白が広いなど、バランスは気になりますが、その一生懸命さが伝わってきます。

2年生から6年生は、お話タイムがスタートしました。第1回目のテーマは、「今年、がんばりたいこと」「お話タイムで話し合いたいこと」「自己紹介」等、1年のスタートにふさわしいものが多いようです。しかし、まだ学級開きから間もない今、昨年のような活発な話し合いは見られません。新しい仲間の様子をうかがうように、沈黙が広がります。意見が出ないので、司会者もどうまとめていいのか戸惑っています。全体的に重苦しい空気が漂っていました。

   しかし、それでいいんだと思います。この「うまくいかない」ことが、学級の課題になり、それをみんなで克服していくことが、成長につながると思うのです。

   校長室からの見える若葉も、まばらです。そのすき間から青空が望めます。1年生の名前の余白も、他学年の話し合いの沈黙も、いわば成長のための大切なすき間なのです。

  夏になれば、若葉で覆われ、優しい木陰を作ってくれる樹々のように、子どもたちもきっと、成長のすき間を埋めるべく、頑張って取り組んでくれるでしょう。そう思うと、むしろそれらは、希望や楽しみのように、感じてならないのです。

散り落ちたサクラを眺めて

  サクラがすっかり散り落ちて、いつもとは違う風景の中で、新しい年度が始まりました。

今年度は、6日、102名の子どもたちの入学式が行われ、会場の体育館が満開のサクラのように華やかになりました。彼らを迎える6年生も、最高学年の自覚の中で、1年生の心がさらに元気になるようなパーフォーマンスを、寸劇や歌で披露してくれました。

 振り返れば、春休み中、事前に学校の下見をして気持ちを馴らそうと、新入学生を連れた親御さんにも出会いましたし、新しい教室で、子どもたちを気持ちよく迎えようと、窓や床を拭き、机を整頓する先生の姿もありました。それぞれの人たちが、はじまりの時に備えて、しっかり準備する光景に、心が動きました。

 サクラは散ってから、3か月後ぐらいには、早くも次の花芽をつけるそうです。しかし、その花芽は、いったん冬眠し、暖かくなるのを待って一斉に咲くと聞きました。サクラが一斉に咲けるのは、早く準備し、その時をじっと待つ時間があるからなのでしょう。

 教育も未来への準備の営みです。将来、子どもたちの人生に、満開のサクラを咲かせるように、一つ一つ準備をしていこう、サクラの樹を眺めながら、そんなことを思いました。今年度も、どうぞよろしくお願いします。