日誌

眼鏡 校長だより


  ご褒美

 

清水寺は、平成の大改修中です。「清水の舞台」で有名な本堂は、工事用の木組みと風雨をしのぐシートにすっかり覆われています。それでも、さすがに世界遺産。修復中であっても、修学旅行生や海外からの観光客、そしてツアー客で、寺へと続く参道は、人でいっぱいでした。

 本堂に立ちました。シートに覆われた舞台であっても、シートの間から望む景色は壮大で、紅葉の頃はさぞ絶景であろうと、たやすく想像ができます。

 添乗員さんがこちらに走ってきます。「お水とりができそうです」との声。舞台の下には、「音羽の滝」があります。三つに分かれ滴り落ちる水を飲めば、「学業」「恋愛」「健康長寿」が叶えられると言われ、ここがひとつのスポットになっています。常に長蛇の列ができ、修学旅行生は、時間的なことからほとんどが回避、今年も、添乗した学校ではまだこのお水にありつけていないそうです。

今日はたまたまよい時間帯だったのでしょうか。行列の人の数がすくないと判断し、福岡小の子どもたちを列に加えました。子どもたちは、落ちてくる水を柄杓で受けながら、それぞれ願いをかけています。

 かれらが並んで待つ姿を見て思い出しました。法隆寺でも、大仏殿でも、平等院鳳凰堂でも、いつも速やかに並び、ガイドさんの話を真剣に聴き、メモをとる姿がありました。そんなひたむきな姿を、神様や仏様は見逃していません、お水とりは、そのご褒美だったのかもしれないと思えてなりませんでした。

 お水に託した願い、ただ願いは願い、それが実現するかは別の話です。清水の改修工事が時間をかけ、ひとつひとつ積み上げ完成に至るように、子どもたちにもたゆまぬ精進が必要です。「清水の舞台」ではありませんが、子どもたちの未来に、夢を実現する、晴れ舞台が待っていてほしいと祈うばかりです。