日誌

2018年12月の記事一覧

自信の種

 老人会のみなさんをお招きし、昔遊びの会を行いました。

 体育館では、だるま落とし、めんこ、けん玉、ぎしぎしとんぼ、竹とんぼ、ヨーヨー、折り紙、おはじき、お手玉、あやとり、コマと、さまざまな昔遊びが用意され、1年生とが関わり合う場がひろがっていました。

 はじめの式が終わり、いよいよ始まりです。

 各コーナーに赴いた1年生にとっては、はじめての経験、不安や緊張をまとって、遊び道具を手にとったことでしょう。もしかしたら躊躇していたかもしれない。しかし、お年寄りの皆さんの励ましと笑顔に背中を押され、「勇気を出してトライ」の言葉通り、挑戦をしました。

 一回ではできなかったかもしれない。でも何回か繰り返しているうちにコツを覚え、たまたまできたその一回に、お年寄りが「すごい、すごい」のほめほめシャワーを浴びせます。その言葉に子どもは大喜び、その一回が大切な自信につながっていきました。

 子どもたちは、こんなふうに、体験を通して自信の種を心に植えながら成長していきます。それは、ゲームでは味わえない感覚です。そして、その種が芽吹き、いつか「鉄棒で逆上がりができたよ」「縄跳びで二重跳びが跳べたよ」「フラフープができたよ」「自転車が乗れたよと」いうように、さまざまな「できた」の花を咲かせていくのです。

 時を同じくして、校長室では、2年生の九九検定がスタートしました。学校探検以来の入室に緊張は隠せません。言い始めの4の段は、いつもは楽勝なのに、少しもたつきます。それでも、難関の7の段を言い切り、認定証を手にしたその笑顔は、昔遊びの顔と、どこか似ている気がしました。

 校長室でも、寒い冬とはいえ、「できた」の花が、満開になっています。

走るということ

 12月になりました。先生方が忙しそうに走っている姿を見ると、まさに師走だなあと感じます。

 しかし、子どもたちも今、教員に負けないくらい走っています。校内持久走大会や駅伝大会を間近に控え、一日中、校庭は、白熱した走りに包まれます。

まず、午前のかけあしタイムでは、運動場を全校児童が走ります。先生たちが逆走してすれ違う子に声をかけ続けたり、ペースメーカーとなって子どもたちを先導したりと、走りに手抜きがないように、厳しくも温かいまなざしや励ましが子どもたちの心をとらえます。

次に、昼放課は自主練習です。ドッチビーや鬼ごっこなどで遊んでいる子のまわりを走っています。高学年と低学年が仲良く走る姿は、なんと微笑ましいことでしょう。お兄さん、お姉さんと走る低学年も、かわいい弟、妹たちと走る高学年の表情も、笑顔があふれ、とても幸せそうです。

最後に、夕方の部活動。ただ黙々と走り込んでいる姿は、厳しい自分との闘いです。何周もグランドを回ります。周回ごとに、顧問の先生からの「あと20秒」「ペースを上げろ」の大声に、心のアクセルを踏んで、ペースを上げていく子どもたちがいます。時間との闘いです。そして、ついにラスト一周、走り終えた仲間たちから「がんばれ」「ファイト」という声がとどろきます。その声に、歯を食いしばって再び手をふり、足をあげます。仲間が待ち受けるゴールに、駆けこんでいく風景は、西日に照らされてとても美しく感じます。

 走ることは人生とよく似ています。毎日同じようでも決して同じでない一周一周を、いろいろな人やことばと出会いながら、心や力を磨いていくのです。

アリガトウノカタチ

福岡っ子発表会の4年生「イノチノカタチ」の中で、「お父さん、お母さん、ありがとう」という台詞が心に残りました。10歳の節目を迎える4年生にとって、いのちの重さを学び、自分の成長を見つめたとき、そこにはかけがえのない父さん、母さんの存在があった。そんな感謝の心が演技に表れていました。

道徳科が教科になり、感謝の心を教えるわけですが、授業の中でその心はなかなか育つものではありません。やはり「ありがとう」という言葉を使ったり、行動に示したりと形にして、人は育つのでしょう。

給食終了後の配膳室を話題にします。配膳室の前に一列に並んだ子どもたちが、一斉に「ありがとうございました 今日も美味しかったです」元気のよい感謝の気持ちを伝えます。室内にさわやかな空気が流れ、給食従業員の定盛さん、牧野さんや栄養教諭の近藤先生も、一瞬動きを止めて、その声に笑顔で応えてくれます。が、挨拶がすむと、彼女たちはすぐさま動き出します。センターから食器回収に来るのが、13:3015分足らずですべての作業を完了しなければならないからです。傍から見ていると、牛乳もそうですが、全クラスの食缶を一つ一つ逆さにして残食を他の容器に集める作業がいかにも大変そうです。なかには残食のたくさん入った重そうな食缶もありました。空にした食缶や食器のかごは、大きなコンテナに載せられ、外に運び出されてトラックの来るのを待ちます。そんな手際のよい一連の動きに、給食委員の子たちも協力してくれているのです。これもアリガトウの形です。

 クラスで残食を減らすことは、自らの健康とともに、給食の従業員さんを楽にしてあげることにもつながる。これもアリガトウを形にすることだったのです。