2019年4月の記事一覧
あすなろの願い
話は半年前にさかのぼります。福岡っ子発表会で、あすなろ学級の皆さんが、「水戸黄門」を演じたことを覚えていますか。その劇中で、メモ帳をもった謎のじいさんが現れましたね。そのじいさんが、あすなろの黄門様一行にプレゼントします。あれはいったい何でしたか。
正解は、あすなろの木。
あすなろの木は、ひのきと似通っています。「あすはヒノキのようになろう」から命名されたと言われる「あすなろ」は、ヒノキに劣るイメージがあります。しかし、実際には、強度、耐久性に優れ、ヒノキに負けない材質だそうです。「あすなろ」という言葉自体も、「劣っている」というよりも「向上心があり前向きなもの」としての響きが強く、あすなろ学級のように、いい意味で使われることが多いです。
昨年度末、ついに本物のあすなろの苗木が届きました。あすなろ学級の子どもたちは、セレモニーを行い、グランド西の遊具の近くに植樹しました。苗木の背丈はまだ1年生より低いですが、いつかは人間の背丈を越え、本校の大樹と肩をならべることでしょう。
新年度が始まりました。各学年の子どもたちはそれぞれが目標を掲げ、歩み始めました。「算数が苦手だからがんばる」「部活で選手になる」「1年生に優しくなる」「たくさん笑う」と一つ一つ読み進めると、あすなろの木のように、未来にはこうなりたいという思いがひしひしと伝わってきます。
今、本校の校庭の樹木も、初夏にむかって、若芽が一斉にふきだしています。その風景の美しさは、子どもたちの抱いている明るい夢や未来を思わせてくれます。サクラの美しさ
今年は、サクラが待っていてくれました。
最近は、温暖化の影響か開花が早く、例年、入学式のころは、散り始めているというのが常でした。今年も三月末には、花が開き始め、入学式まではもたないと危惧されたわけですが、月初めの寒波で、満開の日が後ずさりしていったのでした。おかげで、程よいサクラの咲き具合で、入学の日を迎えることができました。
サクラの花は、咲き始めから散るまでその期間は短く、はかない象徴として、出会いや別れにたとえられます。また、花の色は、白や淡いピンク。品種や気候によって、多少違うようです。ただ注目すべきことは、わずかな期間にかかわらず、花の色が変わっていくということです。開花しても、そこにとどまることなく、変化し続ける、これが、サクラのひとつの魅力なのかもかもしれません。
入学式前日、新6年生が準備にあたりました。黙々と活動する姿に胸を打たれました。思えば、昨年度の6年生を送る会から今日に至るまで、わずかな期間にもかかわらず、日に日に変わっていく6年生の子どもたちの姿に、サクラの美しさを見た気がします。
人の成長は、時間ではありません。そこにかける思いが、人を変えていくのです。