(令和2年3月13日 朝日新聞より)
学校ができることは何だろうか。それを考えさせられた2週間でした。とにかく、生徒がいなければほとんどのことはできません。通知表を作ったり、教室を片づけたり、学校の環境整備をしたり、ホームページで情報発信するのみです。電話や家庭訪問をして、子どもの様子の把握はしていますが、毎日顔を見て、教え、話し、笑い、悩みを聴き、保護者と同じ気持ちで一緒に育てることができていません。
中学校時代に、勉強は苦手だけれど、給食の献立は1か月分暗記してすらすら言える友達がいました。子ども心に「すごいなあ」と感心しました。運動できるのや勉強できるのと同じで、友達の得意なことを見ると憧れたものです。学校は先生が授業を教えるだけの所ではありません。友達と楽しく遊んだり話したりすることも大切です。授業だけでなく、行事や掃除、部活動など、みんなで一緒に考えたり、体験したりすることも大切です。給食も子どもにとっては、心身の成長のためには、特に大切です。
そんな中で、「子ども食堂」がさまざまな地域で活躍してくださっていることを聞いています。休日のみの運用であったのを増やしている所もあります。感謝の思いしかありません。学校が休業になり、行き場所に困った子どもたちを、学童保育などで対応していただいています。衛生面に気をつかいながらの対応ということで、本当に頭の下がる思いです。
そして、特に、不登校の生徒、虐待されている生徒、いじめなどの人間関係で悩んでいた生徒がこの臨時休業中に、どのように過ごしているのかが心配です。更には受験中の生徒もいます。大人でさえ、マスクやトイレットペーパーが買えないだけでパニックを起こしているのに、全ての子どもが、不安を抱えていることが予想されます。
世間では、現在の臨時休業中の授業を夏休みに授業を行えばよいとの意見も聞こえてきます。教師は夏休み中は基本的に、生徒と同じように休みではありません。昨年、教員に夏休み期間中に「休日をまとめ取りせよ」という通称「変形労働時間制」法案が導入されたばかりですが、授業をすることは可能です。ただし、教員研修や免許更新、部活動の大会は夏休み中に行われますので、独断ではなく慎重に考えなければなりません。それよりも、この臨時休業中、不要不急の外出を避けていたまじめな生徒が、夏休みにストレスをためないか、学校を余計嫌いにならないか心配です。
臨時休業前に、子どもの目線で考えた対策を行えていたのか、保護者の目線になって説明を行えていたのか、文部科学省のQ&Aを見ていて思いました。