日誌

2018年6月の記事一覧

始まりの一声 

「おはよう、今日もがんばろう」朝、だれもいない教室を覗くと、黒板に始まりの一声がありました。おそらく昨夜、担任の先生が今朝子どもを迎えることばとして書いてくれたのでしょう。子どもたちは、黒板の文字を見て、さあがんばるぞという気持ちになるに違いありません。

  するとその時、隣の校舎の窓が次々と開いていく光景が目に入りました。まるで、校舎が、朝の清々しい空気を取り入れようと、息をしているようにも見えます。今日も、用務員さんが足早に施錠を解きながら、校舎を渡り歩いていてくれるのです。私に気づいた用務員さんは、窓から「おはようございます」と声をかけてくれました。

  先日、健全育成会の皆さんによるあいさつ運動がありました。

  子どもたちは、校門をくぐると、ずらりと並んだ大人たちに迎えられます。「おはようございます」いつもとは違う、多数の大人の声に押されてか、あいさつに今ひとつ元気がありません。なかには、あえて顔を下に向け、その声を避けるように通り過ぎる子もいました。はずかしかったのでしょう。大人たちの「おはようございます」は、寂しげに彼の頭上を通り過ぎていきました。

  今、学校では、「勇気を出してトライ」をテーマに、お助けレンジャーにも助けを借り、あいさつ改革に取り組もうとしています。「ここぞ」というときに、大きな声を出せる、そう、大阪で登校時襲った大きな地震や、相次ぐ不審者の事件の教訓から、自分の身を守るすべとして、大きな声で、注意を喚起したり、助けを求めたりできることが重要だと考えたからです。

   子どもたちが心の窓を開き、「おはよう」「行ってきます」と放つ元気のよい始まりの一声。この声が、いつか起こる「ここぞ」という場面に「あぶない!」「こっちだよ!」に置き換わり、だれかのいのちを救うと思えてならないのです。