日誌

福岡っ子発表会に寄せて


  晩秋の冷え込みとともに、学校の周りの街路樹も少しずつ色づいてきました。イチョウ、イロハモミジ、ケヤキ、ソメイヨシノなど、それぞれの樹がそれぞれの色に染まろうとしています。それにしても、昨今の異常気象の中にあっても、多少の早い遅いはあるにしろ、こうして約束を果たすように学校を染めてくれる風景にふれると、樹木たちに「今年もありがとう」と伝えたくなります。

 一方、本校も福岡っ子発表会が近づいてきました。届いたプログラムを見ますと、今年も美しいメロディや力強い音の響きの演奏を皮切りに、楽しみな企画が並んでいます。勇気や信頼をテーマに、アイディアあふれる演出と力強い演技が際立つ冒険の物語もあれば、戦争や校区の歴史を取り上げ、人の営みや思いそしていのちを見つめるもの、さらには、野菜や虹の子など他の物になりきって、元気で明るい自分たちを表現するものと、楽しみは尽きません。

 紅葉の見ごろは十一月の終わりでしょうか、一年中のわずかな期間です。しかし、樹々たちは、たったひとときその瞬間に向かって、精一杯生きているように見えてきます。福岡っ子たちも、発表会というほんのわずかな時間のために、先生たちの叱咤激励を受けながら積み上げた練習を糧に、自らを新たな自分に染め上げて、本番に臨むことでしょう。

 詩人のサトウハチロウ氏の詩「自分を染めてあげてください」の詩の一節に、「ひとにやさしく、自分にはきびしく、これをつづけるとすばらしい色になる。ひとをいたわり、自分をきたえる これが重なると輝きの色になる」とあります。あと一週間の練習で、子どもたちがどのように色づいてくれるか楽しみでなりません。