校長だより
晩秋の風景のなかに
琥珀色に色づいたヒマラヤスギと黄金色のイチョウが、陽光に照らされ鮮やかに輝いています。街路樹や校内のあちこちにあるカエデも、紅に染まり、その存在感を示しています。サクラは、赤色から柿色、そして山吹色へと見事なグラディエ―ションに、見る人を立ち止まらせています。
晩秋から初冬へ、本校の校庭は美しい時を迎えていました。この風景の中を、子どもたちは息を弾ませ、走っていきます。今年もかけ足訓練が始まりました。私も、プラタナス、イチョウの落ち葉の絨毯を踏む音を楽しみながら、外周をゆっくり走ることにしています。それにしても、超大型台風やゲリラ豪雨、から梅雨など異常気象に見舞われながらも、季節との約束を守るように、今年もすてきな風景を私たちに届けてくれました。
一方、図書館では、図書ボランティアの皆さんによって、入り口にはクリスマスツリーが置かれ、一足早く冬の装いとなっています。各所各所、工夫が凝らされ、食欲ならぬ読書欲をそそる飾りつけや本の配置がされ、頭の下がる思いです。
また、あすなろの部屋にも、あすなろ美術館が開館していました。のぞいてみますと、あすなろの子どもたちが制作した絵画、工作と、力作ぞろいです。なかでも、運動会、夏休み、福岡っ子発表会の絵は、まるで今年1年の思い出をたどっているかのようでした。
さらに体育館では、老人会の皆さんから、昔の遊びを教えてもらう1年生の姿がありました。「昔の遊びの会」でした。お年寄りと子どもたちの間に、笑顔や優しいことばが生まれ、紅葉に負けぬほど、ぬくもりのある空間になっていました。
環境が人を育てると言われます。美しい自然や温かい人たち囲まれて、人は優しさを紡いでいくのでしょう。
そういえば、登校中、一匹のカマキリを捕まえた子がいました。すでに産卵も終えたのでしょう、カマキリは、抵抗することもしません。そんなカマキリを、そっと優しく垣根に置いていく子。カマキリは、登校する子の後ろ姿をじっと見守っているかのようでした。