日誌

声を出して失敗を取り返す


 
 サッカーの決勝トーナメントが東田小学校で開かれた。本校は幸小と対戦。幸小は、テクニック、キック力に優れ、何度も福岡のゴールを脅かした。本校の子どもたちは、ボールに喰らいつき、全員でゴールを死守し、そこから全員で懸命に走った。結局、0対1で敗れたが、ナイスゲームであった。

 前々日の金曜日は、最後の練習だった。西日を浴びながら、広いグランドを駆けまわる選手たちがいた。最後だから自分の目に収めようと外に出ると、「こんにちは」と大きな挨拶が聞こえた。この日は、ゲーム形式の練習だった。時間短縮のために、コート外に出てしまったボールは追うことをせず、ストックしてあるボールを次々とコート内に蹴りこみ、途切れることのない練習を続けた。挨拶のお礼でもないが、コートの外に点々と転がるボールを拾い集めることにした。幼い頃、こうして夢中になって球拾いして、サッカーが楽しくて楽しくて仕方がないことを思い出していた。そんなときコートの中から「声を出して 失敗を取り返せ!!」と大きな声が響いた。ミスした子へのチームメイトの呼びかけである。失敗はだれにでもある。コミュニケーションを取り合って、ピンチを乗り越えようという意味なのだろう。その声に反応したのか、一声返して走り出した子どもがいた。勢いのある練習風景だった。

 決勝トーナメント、相手の巧みなプレーと強力な守りに、確かにミスはあった。しかし、声を出して合って、カバーする姿は、一昨日の練習そのままであった。

 「声を出して失敗を取り返せ。」子どもだけでなく、私たち大人が、人と関わって生きていく上で通じるこの精神は、私がグランドで拾った珠玉の言葉である。