日誌

さあ 始まる

   体育館では、6年生が卒業式の練習中でした。フロア中央にある演台で、証書を授与する一連の所作は、ややぎこちなく不自然さがぬぐいされません。でも、卒業の歌になると、その美しいハーモニーに、会場が一変、卒業の空気に包まれました。卒業式が日一日と迫ってくる中、次第に思いと動きがつながり、自然なものになっていくのでしょう。

 通学班は、卒業前に、再編成、新年度をふまえて、新しい班長さんのもと、新しい通学班登校がはじまりました。

 朝、眺めてみると、その班はいつもより少し登校時間が早く、見守り隊の方たちの立つ交差点に現れました。「早いなあ」の声に、元気のよい「おはようございます」が返ってきました。ランドセル以外に責任という重荷を背負いながらも、やる気と自覚で、その重さを感じさせない表情が、なんとも頼もしく思えました。  

「校長先生、実はね……」と、見守り隊の方が、私に一枚の手紙をみせてくれました。そこには、「いつも感謝の気持ちを伝えたかったのですが、はずかしくて言えませんでした」と見守り隊の方への感謝の気持ちが綴られています。

「長い間、見守り隊をやっているけど、こんなふうに手紙をもらうのは初めてだ」と見守り隊の方は、目を細めながら、その手紙を宝物のようにふところにしまいました。感謝を伝える「ありがとうの会」が先日あったわけですが、本人としてみれば。直接、感謝の意を伝えたいと動かずにはいられなかったのでしょう。一通の手紙の優しさが見守り隊の方に元気を贈ったのでした。

 卒業や進級という節目に、何かをはじめようという気運。子どもたちも、新しい季節に向けて動き始めています。