日誌

成長を刻む

 玄関に、第十回卒業記念として寄贈された柱時計があります。これを用務員さんが修理してくれ、再び時が動き始めました。玄関では、チクタクチクタクと静かに振り子が振れる空間に、著名な画家の高畑郁子氏や星野眞吾氏の絵画が掲げられています。その絵を眺めていると、時を超えて高畑、星野ご夫婦の声が聞こえてくるようです。また校長室にいると、定時になると、ボンボンと、この柱時計が時を知らせてくれています。子どもたちは、あと2か月で、卒業や進級です。この柱時計の音色に、残された時の大切さを改めて感じます。

 

 わんぱくタイムになりました。あすなろ学級を覗いてみました。今日は、子どもたちが読み聞かせを披露してくれる「おはなしのへや」だそうです。内容は、お弁当の話とおおかみの話でした。自分の体ぐらい大きな手作りの絵本を抱えた子どもたちは、満員になった観客の子どもたちに、堂々と語っています。その一言一言のたくましさに成長を感じます。

 思えば4月当初、子どもたちは、大変な恥ずかしがり屋で、ものかげに隠れてしまったり、小さな声で聞こえなかったりしていたことを思い出しました。彼らの成長は、いつ、どこで、どんなきっかけがあったかは分かりませんが、気がつけば、子どもたちは、あのころからずいぶん遠くに来ることができたなあと実感しています。

 「継続は力なり」と言います。あすなろの子たちは、本校の子どもたちとはもちろん、南部中、栄小、聾学校、高倉幼稚園と、多くの人たちとの交流を繰り返し、自信をつけています。柱時計の振り子が時を刻むように、たゆまぬ一歩一歩がそこにはあるのです。