日誌

マラソンの宝物


 今年度本校に赴任した川島先生は、マラソンが趣味だそうです。日本各地のマラソン大会に参加している、42.195㎞を走るまさしくレジェンドです。「あんなにつらい競技、なぜ走り続けるの?」と私が聞くと、「走るのが楽しいから」と答えがあっさりと返ってきました。どんなことに対してもやはり「好きである」ことが向上の第一歩であると、改めてわかります。

  さて、今年の校内持久走大会は、風もない小春日和の11日に実施できました。昨年は、インフルエンザ流行により学級閉鎖もありで、年越しをして実施した学年もあったことを思えば、今年は最高のコンディションであったと言えます。

 とはいえ、川島先生のように「楽しく走る」境地には、子どもたちはまだほど遠いらしく、顔をしかめ苦痛にあえぐ顔や、涙を浮かべて悲嘆にくれる顔と、私の前を走りゆく顔は、どう見ても楽しそうではありません。楽しい境地は、もう少し時間がかかりそうです。

 今年のマラソンも、順位や記録といった結果だけでなく、悲喜こもごものドラマがありました。

   休日も学校に来て練習を続けた子、友達についていこうと懸命に友の背中を追った子、ライバルに敗れ、悔し涙を流した子、疲れて倒れたが先生の言葉に復活し再び走り始めた子、去年は伴奏者がいたが今年は自力で走った子、そして、友達のために声を枯らして応援した子など、そこには、順位、記録という器からはこぼれ落ちても、さんさんと輝いているものがあります。その放っておけばうずもれてしまう宝物を拾って、本人に「がんばったね」と言葉で返してあげるのが大人の仕事です。

 保護者の皆さん、ご来校ありがとうございました。わたしたち教職員が、拾いきれなかった我が子の輝きを、ぜひご家庭で届けてあげてください。