日誌

きっかけをつくる人に


 放課になると、校庭に星野源の「アイデア」というという曲が流れます。朝ドラの軽快な音楽とともに、一斉に子どもたちが運動場に飛び出していきます。23日の長縄大会に向けて、練習は佳境を迎えています。遠くから見ると、広いグランドという海が波打つように、あちこちで長縄の波が生まれています。

 本番まで一週間を切りました。それぞれの学年の掲示板には、福岡ギネス記録とともに、現在の記録が書き込まれています。117日現在の最高記録は、あすなろ298回、1年生が299回を、2年生251回、3年生303回、4年生414回、5年生674回、6年生568回と記されていました。記録は、随時書き直され、数字をふき消したプレートの汚れが、日々の記録更新を物語っています。とりわけ6年生は、最後の大会ということで、学年掲示にも「クラスでまとまる」「みんなで楽しむ」「友達のよさを見つける」「体力をつける」「声をかけあう」ように、大会に寄せる意気込みが並んでいました。

 実際にそれぞれの長縄に寄ってみますと、低学年の子の中には、まだまだ縄に飛び込むことに躊躇している子もいます。すると、どうでしょう。後ろの子が飛び込むタイミングを推し量って、そっと背中を押しているではありませんか。つんのめるほど強くなく、戸惑うような弱さでもなく、絶妙の強さに優しさがありました。また、中学年や高学年においても、「ハイ、ハイ、ハイ」と声でリズムをとって、クラス全体で飛び込むきっかけを作っていました。

 人が成長するときは、きっかけがあるものです。自転車に初めて乗れたときも、跳び箱を初めて跳べたときも、おそらくそうだったでしょう。世界で活躍する野球の大谷選手も、将棋界で活躍する藤井七段も、こんにちがあるのは、飛躍のきっかけとなった出会いがあったに違いありません。私たちは、成功した人に目を向け、称賛を送りがちですが、その陰にいる人や集団の存在を忘れてはならないと感じています