日誌

眼鏡 校長だより

  忘れられない瞬間

 

台風による延期で、バスケットボール決勝トーナメントが、四日、本校で開かれた。この日は、あいにくミニバスケットボール大会と重なり、多くのチームがベストメンバーで臨めない大会となった。

 メンバーが抜けると、試合の様相が読めない。バスケットは、「習慣」のスポーツと言われる。いつもの練習をこなし、そこで染みこませてきた習慣の中で、仲間同士の暗黙のルールが生まれる。それが一人ぬけることで大きく崩れ、大敗するチームをよく見てきた。

 本校も大黒柱がいない中での準決勝、決勝だった。本校の先生も保護者の方々も大勢が応援に来た。が、大いに期待を寄せながらも、心配で不安を隠せない表情で、試合を見守っていた。私もその一人であったと思う。

 が、福岡の子どもたちは違った。戻ってくるキャプテンのためにと、自分がやらなければと、役割を自覚し立ち向った。それが、シュートやディフェンスの思い切りのよさにつながり、それが随所に決まった。ピンチもあったが、試合の流れをけっして相手に渡さなかった。「習慣」にはない、いつもと違う局面を、キャプテンにつなぐという「思い」がしのいだのだった。

 そして、決勝のハーフタイムに、キャプテンはついに帰ってきた。今までじっと耐えていたのだろう。その時見せた選手たちの何とも言えぬ安堵の表情、私はこの瞬間を忘れることはないだろう。