日誌

眼鏡 校長だより

トントントン

 

 その教室は、授業が終わろうとしていました。今日学習したワークブックをやり終えた子から、順番に提出することになっているようでした。ひとりができ、またひとりができと、教卓の前には自然に行列が生まれていました。半数ぐらいすぎたところでしょうか。私ははっとしました。たくさんのワークは乱れることなくきれいに積まれているではありませんか。

 しばらく様子を観察してみることにしました。無造作に置く子もいます、なかには、放り投げるように出す子もいました。けっしてつねにそろっているわけではありません。しかし、乱れそうになると、その都度気がついた子がワークの山を抱えて、トントントンとそろえています。だれともなく手をさし伸べるその姿にすっかり感心してみとれてしまいました。

この整理整頓の姿は、クラスの仲間に注ぐ、一手間かける優しさでもあったのでした。

 教室を離れ、再び廊下を歩き出しました。「整理整とん」「スリッパをそろえよう」などポスターに囲まれたトイレのスリッパ、用務員さんによる手作り雑巾かけの雑巾、いずれも気持ちのよいほどにきれいに並んでいます。ここにも、だまって動き出している「だれか」がいるのです。夏が行き、実りの秋を迎えました。さわやかな秋風に優しさの穂が揺れているようでした。