日誌

パプリカ合唱隊


  保護者の皆さんから、「挨拶が進んでできない」というアンケート結果をいただきました。そうした声を受けてか、3年生、5年生では、総合の授業や学級会で、挨拶について話し合い時間をもってくれました。教室ではやる気満々の子どもたちです。さあ、学校の外では……

 その週の寒い朝のことです。太田スポーツから上ってくる坂道より、何やら声が聞こえてきます。耳を澄まして聞いてみると、どこかで聞き覚えのある歌です。それも一人の声ではなく、何人かの歌声です。その朝は、冷え込みが厳しく、立っているだけで寒さがぞくぞくと身に染みてきます。私は凍えながら、彼らがこちらに来るのを待つことにしました。坂道を上ってくる彼らは、明るく笑顔でこちらに近づいてきます。寒さなど微塵も感じていないようです。

坂道を上りきると、その歌声はさらに大きく聞こえました。さあ、いよいよ曲のサビの部分に入ろうとしたとき、私の姿を認めた子どもたちは、急に歌うのをやめ、大きな声で叫びました。

「おはようございます」

「ああ、おはようございます」と私は挨拶を返し、「何という曲?」と聞くと、子どもたちは一斉に笑顔で「パプリカ」と答えてくれました。

その後、子どもたちは、角を曲がり、西門に向かいました。そして、しばらくすると、再びパプリカが始まりました。私は、後ろ姿を眺めながら、彼らを「パプリカ合唱隊」と勝手に名づけました。寒い朝でしたが、合唱隊の元気な歌声と挨拶に、何とも気持ちのよい朝となりました。 

  冬場の登校は、冷たく気が重いもの、おそらくパプリカ合唱隊の中にも、そういう子はいたに違いありません。しかし、歌声と仲間の力で、元気な朝を迎えることができたのです。見ると合唱隊は、今はもう学校に到着するところでした。